フォトジェニー
フォトジェニーとは写真本来の性質という意味を表す語ですが、これを映画に転用したのは、フランスの映画監督ルイ・デリュックで1920年の著書、フォトジェニー中でこの観念を展開しました。同じくフランスの映画監督ジャン・エプスタンがこれをそのエトナ山上の映画論においてさらに詳しく論して、フォトジェニーとは、映画的再現によってその精神的特質を増すところのすべての事物、生物及び魂の全ての面と定義しました。それは絵画における色彩、建築彫刻におけるヴォリュームなどと同じく、映画の固有の要素としてとらえられました。理論としてのフォトジェニー論はかなり観念的で抽象論でしたが、それが実際の映画作品に与えた影響は甚大で、1920年代のランス映画の新しい発展の原動力となりました。デリュック、エプスタンは、彼らが十分に埋論化しえながった点を実作において具体的に明らかにし、デリュックの熱狂、エプスタンのアシャー家の末裔などがフォトジェニー論の模範的作例として大きな役割を果しました。純枠映画はこの理論をさらに展開していったところに成立したと言えます。

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