ドキュメンタリー映画
ドキュメンタリー映画とは記録映画。映画のそもそもの起りは動く写真つまり記録でしたが、その後、劇映画が商業的に全盛を極めるようになっても、カメラの記録性を生かした映画は、ニュース映画や記録映画としてたえず重要な働きをしてきました。この種の映画が特に大きな役割を果したのは、ソ連の10月革命の前後で、ジガ・ヴェルトフとそのグループのキノ・キー、キノ・プラヴダなどの運動でした。1930年前後に、ヴェルトフ等から示唆を受けて、イギリスに生まれたドキュメンタリー映画運動は、運動を世界的に普及するのに貢献しました。ポール・ローサ、ジョン・グリーアスンなど、またアメリカで主に製作を行なったロバート・フラハーティーは、多くの傑作を残していました。ドキュメンタリー製作者の中には、オランダ人ヨリス・イベンスのように、社会的政治的な主張を眼目として、民主的立場に立つ人々と、イタリアのグァルティエロ・ヤコベッティのように異常あるいは残酷の中に煽情性を迫及するジャーナリストと、両極端があり、その中間に、ジャン・ルーシュ、リチャ一ド・リーコック、クリス・マルケルなどがそれぞれの特色ある作風を持って創作していました。

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