ネオリアリズム
ネオリアリズムとは第二次大戦の終結とほとんど同時にイタリアに起った新しい写実主義映画運動で、イタリアン・リアリズム、とも呼ばれます。その先駆者となったのはロペルト・ロッセリー監督で、彼はまず無防備都市、戦人のかなたで、イタリア民衆の反独のレジスタン闘争を描きました。また、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の靴みがき、自転車泥棒。ルキノ・ビスコンティ監督の大地は揺れるなどが知られています。これらの作は、記録映画的な冷静な眼で、厳しく現実を見すえ、ファシズムや戦争や資本主義の害悪にまっこうから反対する基本的態度を守り、在来の映画に見られない事実の迫力を感じさせるところに特色がありました。ネオリアリズムの流れはなお今日まで減びず、ジロ・ボンテコルヴオ監督のアルジェの戦い、またマウロ・ボロニーニ監督のわが青春のフロレンス。ジュリアノ・モンタルド監督の処刑台のメロディーなどにそのまま継承されているだけでなく、1960年頃からフランスで起ったヌーヴェル・ヴァーグなども考えようによってはその変形された発展と見ることもできます。また、ミケランジェロ・アントニオーニ、フェデリコ・ブェリー二などのイタリア派の巨匠達もネオリアリズムの陣営から生みだされ、彼らみずからその傾向を内的ネオリアリズムと呼んでいました。

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